第一回海外視察報告:WePlay Expoと企業訪問 in上海

11月22日から25日にかけて、中国・上海で開催されたWePlay Expoを中心に、中国ゲーム市場の視察を行った。本視察は「Global Game Growth Gateway」事業の一環として実施されたもので、引率として中国のゲーム事情に詳しい指導者の細越氏、事業採択者10名のうち下記3名がゲームの主要市場である中国の知見を深めた。

指導者
株式会社Annulus CEO・IGDA日本 SIG-Growth副世話人 細越 啓寛氏

参加メンバー ※五十音順
株式会社room6 伊藤 純子氏
株式会社コトブキソリューション 藤春 みのり氏
株式会社ドリコム 村尾 宏明氏

11月22日、23日に開催されたWePlay Expoでは、出展企業7社の担当者から話を伺った。WePlay Expoは中国で開催されるゲームイベントの中でも特にインディーゲームの盛り上がりが大きいイベントであることを多くの出展社が語ってくれた。日本のイベントと比較してユーザー参加型文化が確立している点も印象的だった。ユーザーは企業や開発者から提供されるコンテンツを受け取るだけではなく、イベントやSNSを通じて意見を発信し、タイトルの改善やアップデートに関与する姿勢が見られた。この文化は、指導者である張氏の講義で話されていた「中国ユーザーに寄り添ったコミュニケーションの重要性」を裏付けるものであった。

訪問ブース ※五十音順
A01 游民星空/Gamersky Games(GAMERSKY)
A13 Ukiyo Studios(Ukiyo Studios)
A28 2P Games(2P Games)
A30 Fami通(株式会社KADOKAWA Game Linkage)
B04 IndieArk(IndieArk)
B23 日本游减产业班日(株式会社アソビズム)
B26 日本游减产业班日(株式会社グラティーク/LeonaSoftware)

企業訪問では上海に拠点を置くパブリッシャーGamirror Games、ゲーム会社に対して株式出資やインキュベーションプログラムを提供するCoreblazerの2社を訪問し、中国市場の価格戦略やゲーム開発支援について学ぶことができた。特にSteamにおいて、中国の一般的なゲーム単価は日本よりも安価な傾向にある。一方で、人口規模の大きさから売上成長率が高い点が特徴として挙げられる。これは、販売価格やマーケティング施策を考える上で日本国内とは異なる視点が必要であることを示している。また、コンソール人口がSteamにも流入する可能性や、アニメ化・映画化を可能とする日本ならではのゲームパブリッシングに期待を寄せる意見も視察を通して寄せられた。

現地視察を通じて、キャッシュレス決済や生活インフラとしてのスマートフォン普及率の高さを体感した。WeChatひとつで決済・コミュニケーション・検索が完結する環境下では、ゲームが生活と密接に結びついていることが分かった。百联ZXやNEO WORLDなどの二次元IPを主に取り扱う商業施設では「鬼滅の刃」を中心とした日本のIPに限らず、中国発のIPの台頭、中にはインディーゲームの商業化も見られ、新たなIP創出プロセスが予期させられた。

本プロジェクトにおける第一回海外視察として、採択者3名が積極的に質問・考察を行い、大きな成果と学びのある機会となった。本視察で得られた視点を参加各社が今後の海外展開や市場分析の基礎として活用することが期待される。